絶望の日本-希望はどこに(4)

社会問題
私の使用する楽器のf 字孔から見えるラベル(ブリュッセルと1895の記載がみえる)

 時がたつほどに、絶望感だけが肥大していくようなそんな日本に再び絶望しています。そもそもその感覚の始まりがどこに由来するのか、を自らに問いかけました。結果、状況がどうであれ戦争をしたがる人間のいることが全く理解できないことが、その根幹にあると気がつきました。しかも戦争したがる人間の描く戦争とは、技術だけは進歩したものの第2次世界大戦に見られたような古典的な総力戦、殺し合いの戦争です。それどころか現在の日本での論調は、ストレス発散のための道具として戦争を想定しているかのようで恐ろしいです。戦争がすべての問題を解決し、ガラガラポンで新たななにかができるかのような思考停止状態が恐ろしいですし、こんな日本に希望はあるのだろうか、と悲しくなります。

ここに見られるのは「命」が軽々しく取り扱われる社会風潮の蔓延、それをはやし立てるメディア、それに異議申し立てをする人々を無視する空気です。それぞれに与えられた命の貴重さがわからない人間が、メディアで軽々しくしかも平然と「老人の集団自決」を促すという事件がありました。かつて「集団自決」という言葉がどのような文脈で使われたのか、まさか知らないわけはありますまい。この発言をした人間は、それなりの知識を持っているはずです。そう、沖縄戦でこの悲惨な「集団自決」があったのです。すなわちこれはその言葉の意味での自決ではなく、追い詰められた住民が、投降を許さない政府によって、間接的に殺戮されたこと、これが「集団自決」です。

 この発言が国際的に大々的に取り上げられたことで、ようやく国内メディアもその発言の深刻さに気がついたかのように追随しました。でも最初それがテレビで面白半分になされた発言であることが、より深くそのダメっぷりを浮き彫りにしています。この日本で面白半分の冷笑系発言が、あたかもメジャーであるかのように横行して、社会の空気を作っているこの状態は、明らかに変なのですが「やめられないとまらない」まま、海外のメディアの反応によってやっと冷静になれるのは、もはや日本では異常な化学反応と形容したいほどの奇妙な社会変化が次々に起こっている、としか思えません。

 「何があっても戦争をしてはいけない。なぜなら戦争は人間をその心ごと破壊するものだから」という戦争体験者の言葉をさっさと忘れ去り、戦争談議にうつつを抜かしている与党政治家は唾棄すべき人たちです。命をなんと思っているのでしょうか? テロ特別措置法でインド洋に、またイラク戦争でサマワに派遣された自衛隊員が54名自殺しています。戦闘に参加したのでなくとも戦場でのストレスは想像を絶するもの、心が破壊されるのだ、ということがこの数字で示されているではありませんか。
(イラク戦争の自衛隊員の自殺 https://www.j-cast.com/tv/2014/04/18202567.html?p=all)

私の叔父は私が大学2回生のときだったと思いますが、当時50歳余でした。ある日、我が家に寄った叔父はふと何気なく私と父に語り始めました。「最近、鶏肉を料理するのもなんか嫌でね。気持ちが悪くなる。戦争を思い出すんだよ。南京にいたんだよ。あれはひどかった。南京事件だよ。(中略) とにかく戦争は絶対にやっては駄目だ。なにがなんでも駄目だ」と。南京にいたのは20代前半だったはずですから、すでに25年余りたってなおそういう苦しみが蘇ってくる、これが戦争です。((中略)の部分はちょっと私自身も気分が悪くなるようなぼかしつつも具体的な話でした)

 私が希望を託するのは女性あるいは社会的弱者かもしれません。命に真剣に向き合い、命にこだわる人達がもっともっと力を持つ社会であってほしい。戦前の赤紙一枚で命が召し上げられ、いと簡単に捨てられたそんな命の軽さを再現させてはなりませんが、どうして戦争をするという論理が出てくるのか私には理解できないのです。おそらく論理的思考とやらで、人間のこころや感情を抜きにして、論理を至高の価値あるものとして、ある前提条件を与えたらそういう結論になるのでしょうね。しかしその前提条件が間違っていたらそれは何の価値もない。そして命は論理をはねつける。

 ついでながら原発も命の軽視がその根本にあります。大地震に襲われたときどうするのですか。自然を軽視するものは自然にしっぺ返しされます。原発は絶対に事故を起こしてはならないがゆえに、稼働させてはならないのです。トルコ&シリアの地震では原発がなかったゆえに生活の再建はできるでしょう。しかし、日本を大地震が襲ったならば、原発事故で日本に住めなくなる可能性だって充分ありうるのです。何の落ち度もないのに難民となって彷徨うなんて…。こうなって初めて原発の問題点を理解できたとしても遅すぎます。

 私はいまアメリカの動向が怖いです。アメリカは軍産複合体の力が巨大だから、とにかくどこか自国と離れた場所で、戦争を起こすことを宿命づけられている国です。ウクライナ戦争で大儲けしています。そろそろ次の戦争を仕掛ける準備にかかっています。目をつけられたのが台湾です。私は台湾の人々がそれを回避する知恵を出してくれることを期待しています。アメリカの挑発、お金をばらまいての独立派への力づくでのテコ入れが露骨に始まるでしょう。しかし私は台湾の人々の良識に期待します。中国への挑発も始まっています。それよりも心配なのは、日本人の煽りにのりやすい体質とメディアの劣化と国民のことなど何も考えない空っぽの日本政府です。防衛費という名の日本の軍事費でアメリカは大儲け。ホンッと日本は馬鹿です。ため息しかでない。

 日本では命を真剣に考え尊重する女性と社会的弱者の方々そして社会の真実を伝えることに生きがいを見出している本物のジャーナリストが頑張ってくれると期待したいです。私自身は署名くらいしかできないのがもどかしい…。

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