6月18日びわ湖ホールの小ホールでエベーヌ弦楽四重奏(以下略してSQ)の演奏を聴きました。数々のコンサートで世界的な知名度のある素晴らしい多くのSQの演奏に触れてきましたが、その私の記憶の中でも、言葉を失うほどとびっきりの演奏に出会い、心底生きていてよかった、と思いました。生きる喜びってこういうことなんですね。
個性の塊のような4人の奏者があわさって作り出す融通無碍な揺らめき、煌めき、艶やかさ、目くるめくような透明な音の世界に我を忘れて没入していました。ハイドン・ヤナーチェク・シューマン、それぞれのプログラムが固有の世界になって、4人が紡ぎ出す音の織物の模様が3Dの世界で立ち上がってくるようでした。
私がエベーヌSQの名前を初めて知ったのは、2016年YouTubeでベートーベンのOp132の演奏を視聴した時です。メンバーはヴィオラだけが現メンバーと異なっていましたが、演奏のエネルギーにほとばしるものを感じて気になっていました。ヴィオラがいまのメンバーになって以降、やはりYouTubeで視聴して、加速度的に演奏に磨きがかかって一層自由闊達なSQになった、と思いました。
2016年にはすでにウィーンの人々の間で評判の高いSQになっていたようです。ウィーン在住の音楽好きの知人が同僚から「SQならいまやエベーヌを聴かなきゃ」と言われたそうです。2020年のシューベルティアーデのプログラムをみると、6月と8月、6回にわたってエベーヌSQによるベートーベンのSQ全曲演奏が予定されていましたが、新型コロナの広がりで中止になったかも…と気になったまま。

シューベルティアーデには2016年の夏、HOHENEMSの会場でコンサートを楽しみましたが、私にとってはそうそう簡単に行けるわけでもなく、2019年に送ってきた2020年のプログラムを見たときは、余りの豪華な内容にため息しか出ませんでした。翌年の新型コロナのことなど全く知る由もなく…。

ですのでひたすら関西での来日公演を待っていたのですが、見落としたのか以前の公演は知らず、今回の公演をメール案内で知って、一般発売日に予約しましたが、会員がすでにかなり予約していたのでしょうか、センターブロック席では後ろのほうにしか残席がありませんでした。クラシックの、地味と言われるSQコンサートとしては珍しくも完売になりました。でも今はわかります。コンサートが終わった瞬間に次の公演が待ち遠しくなっているのですから。

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